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菌の仕業で生まれるインド藍ブルー

2020.01.12

いのちのころもの染めには、共通点があります。



ひとつの染料を作るのに、約20種類ほどの植物を使っています。
お花、葉っぱ、根っこ、果実、種、いのちまるごと◯


ひとつの植物とっても
たくさんの成分、色素、有機物で成り立っているよ。



それが、ひとつの窯で、何十種類も合わさって、混ざり合う。
水を媒体にして、衣に目にみえるもの、目に見えないもの全てを移していく。


特徴は“ゆらぎ”


いのちのころもの衣には “ゆらぎ” を感じる。と言っていただきます。

それは、化学染料の単一的なものでないから。
色って、光があってはじめてみえるもの。植物の恵みからもらった多様な成分は光に当たると
乱反射をおこし、多面的に見えるそうな。

その複雑さ、こそ、ゆらぎなのかな、と思っています。

インド藍ブルー

藍染めは、奥が深い。

私は、藍染めの達人でもなし、詳しいことはまだわからない。調べてまだ3、4年。


それなりに藍染めを調べていくうちに

「藍染」と書いてあればすべてが本物で、日本であれば、蓼藍なら、「本藍」だ。
ということに間違いがあると知った。




過程で、灰汁使ったり、化学薬品を使ったり、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、石灰、
日本酒いろいろなものが、選択できるのです。



それを知った時、がっかりしたのを覚えています。

それは、自分の無知さ、と、「藍染め」と書いて喜んで買ったものがハイドロを使って作られたものだったから。
特に表示の義務はないと思うのだけれど、
過程は伏せてあり、消費者には伝わらない。


苛性ソーダやハイドロを使うと、時間をかけずに染液ができるし、手軽になり
買い手の私たちが、お手頃価格になるという先人の知恵から生まれたものなのだろうけどね。。

草木染めもそう、色落ち変色を防ぐために、少量の化学染料を使って堂々と草木染めと謳って
販売しているところもある。化学染料は、強烈でほんの数グラムでも鮮やかな色が出せるんだよ。
99%天然由来!!って残りの1%は?って思う。


自分が買う立場なら、いいの。
私も、食品を買う時、パッケージの裏を見て、アミノ酸か、、、と思いながら買うこともあるので。
知った上で納得して選んでいる。


でも、自分が販売するなら、過程を知っておきたいなぁと思うのです。
だから、私はインドの辺鄙な村まで行って、工房で職人たちと同じ生活をして勉強させてもらっている。


5年通っても、まだ深い。

わからない。

でも、わからないから楽しい。

わかったって思える日はこないとも思う。

だから、もっと植物と仲良くなりたい。






あ、ぼやいてしまった。。

染めの世界は深い。


私は、もともとこの世界の人間じゃなかったから、
なんで正直に作らないのかな?って思うんかな。



何言ってるねん。そんなくそまじめにしていたら、商売にならんわい!ってなるんやろか。


私が、通っているインドの工房
これだけの手間暇をかけて、働き手に十分なお給料が支払われているとなると
工賃も高い。大量生産からはほど遠い。
私一人で、作業はタダ働き同然でやっているのでなんとかやれている。


だけど、正直に純粋に作った色の可能性とエネルギーを信じているんだよね。



あ、熱くなってしまった。




何が言いたいかというと

本藍で染めるのはとても技術や経験がいることで、希少で、すんばらしいと言いたいだけなの。


私たちのブルー

私たちは、タデ藍ではなく、インド藍を使用します。

藍の種類が違うのですね。



南インドのチェンナイ近くのインド藍工房で作ったインディゴケークを使用します。






インディゴケークの作り方は、私は実際見ていないのですが、こちらを参考にしてください。


実は、インド藍だけは、どのように発酵させているのかまだ勉強中です。

生のインド藍の葉っぱとインディゴケークに植物の種、そして泥を使っています。
そこに、貝やバナナリーフの灰が基本です。

急いで染液を作ることがあって、その時は石灰を使っていました。



なので、本藍のような建てかたもするけど、苛性ソーダ、ハイドロサルファイトなどは絶対使わないけれど
石灰を使い発酵建てもしているのではないかと思っています(推測)




やはり、急ぎ足で(一週間くらい)建てた時は、色移りをし濃く染まらないことが多い。

彼らも、「日本の藍は素晴らしい。勉強したい」と言っているので

日本の藍染は、世界に誇れるものだと思います。

土に埋まったツボの周りは、ターメリックと牛糞をペースト状にしたものを敷き詰めます。


十分な時間をかけて、微生物たちと会話しながら

染め上げていくインド藍。

染めの中でも、一番の手間暇をかけ、何度も何度も染め重ねる藍の色。

微生物の自由自在で、懐深い豊かさ溢れるインドブルーです。

インド藍ブルーはこうして生まれます

約10種類のハーブの調合
インド藍、カレーリーフ、アロエベラ、ニームなど


なんかデコレーションしてくれた(2019年秋のブレンド)

インド藍を発酵させるために、数種類の植物。

アーユルヴェーダ染めの特徴のガムプロセスに、数十種類の植物を使っています。


今回は、ちょうどシーズンというのもあり 今季はこの植物も入りました。

バタフライピーですね。

抗酸化・利尿・鎮痛・眼精疲労・血行促進
育毛・抗炎症・抗不安・抗うつ・解熱 etc

美肌・美白・肌の弾力
美髪効果
血液サラサラ効果
眼精疲労を改善
活性酸素をおさえる
内臓脂肪の蓄積をおさえる
細胞膜を守る
アンチエイジング
脳機能を高める

参考にしました。
https://cotoriherb.com/butterflypea/

バタフライピーは、パープルの色に使う薬草で、、、差別化していたのですが
シーズンでたんまりファームランドに自生しているので
「良かれと思い」使ってくれました。
ありがとうね。

インドディゴケークをパウダー状にする

土に埋まった甕で、発酵させます。毎日同じ時間にかき混ぜる。

藍の華を建たせる

一枚一枚衣を入れて染めていく

染めては、干して、染めては、干してを繰り返します。
時間をかけて、2日間かけて5回以上染め重ねていきます。

洗浄する水が、透明になるまで、死ぬほど洗います。



ブルーの濃さは、染めるたびに違いますが
その季節にしか出会えない空気感をまとっています。

いのちのころもが大切にしていること

●作る人、使う人、そして環境、地球にやさしく安全であること
●手仕事を大切にし、モノが生まれる物語を伝えること
●その土地の文化を知り、愛し共に働くこと

これから増えるよね、きっと。